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名人列伝「米朝、枝雀、小三治、志ん朝」彼らの芸と人生

たくさんのお運び、誠にありがとうございますm(__)m。Web亭落語講座、案内人の落語語朗(らくごかたろう)と申します。皆様に落語の魅力を紹介しております。

何の世界にも名人はいらっしゃいますな。もちろん落語の世界にも名人と呼ばれておられる方々はいらっしゃいます。まぁ、十人の落語ファンがいれば、十人の名人がおるのではないかと思いますが、万人に愛される名人と言われる方はどんな方なのでしょうか。

私が今日、名人としてご紹介させて頂きたいのは西の米朝、枝雀、東の志ん朝、小三治(桂米朝、桂枝雀、古今亭志ん朝、柳家小三治)でございます。では、お生まれの順にご紹介いたします。厳密にはそれぞれ何代目という表記をつけるべきかもしれませんが、皆さまのお馴染みの代の師匠でございます。

桂米朝師匠は1925年(大正14年)のお生まれです。上方落語中興の祖と言われており、重要無形文化財(人間国宝)に認定されております。戦中・戦後、噺家さんたちの数も減りましたし、修行なんかもままなりません。上方落語はこのまま滅んでしまうのではないかという時期、演目(落語のお噺の内容)の活字も録音も失われているような状況のなか、昔、聴かれた記憶を頼りにたくさんの演目を復活させました。

上品な語り口で、同じ関西弁でも、大阪弁と京都弁の違いは米朝師匠のお噺を聴くとその違いというものが実によくわかります。後述の枝雀師匠はお弟子さんでございます。

古今亭志ん朝師匠は1938年(昭和13年)のお生まれです。東京の駒込出身で豪気な芸風が売りでございました。大阪のお客さんにも江戸落語の真髄を広められた方でございます。たいへんにお酒が好きで、それもあるのでしょうか2001年、まだお若いのに惜しまれながら亡くなられております。志ん朝の枯れた芸が見たかった、と多くの方が申されます。

桂枝雀師匠は1939年(昭和14年)のお生まれです。「ずびばぜんね~(すみませんね~)」に代表される滑稽で大きなアクションが芸風です。米朝師匠のお弟子さんなのですが、芸風は正反対です。お弟子さんの桂雀々師匠はいつも仏教の本を紐解いておられたもの静かな方だったと述べておりますが、ご自分の芸に関して、たいへんにストイックな方で常に研鑽をされていた方でした。

「枝雀の顔を見られただけで笑われるようになりたい)」が口癖でした。1991年にお亡くなりになられております。

柳家小三治師匠は1939年(昭和14年)のお生まれです。小三治師匠も人間国宝でいらっしゃいます。ぶっきら棒に飄々と朴訥に語る芸風です。本物の芸とは「お客さんが無意識に笑ってしまうもの」という信条をお持ちです。

たいへんに多芸多趣味でお若い頃は革ツナギでナナハンで寄席に現れていたそうでございます。俳句も嗜まれていて、米朝師匠や入船亭扇橋師匠、永六輔さんは俳句仲間でいらっしゃいます。

今回、ご紹介した方々を取り上げたのは上品さ、豪快さ、滑稽さ、朴訥さいずれも落語の芸風としてだけではなく、人として身に着けていたい魅力なのではないかと感じたからでございます。

以上、名人列伝の一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

学校寄席、やりませんか?母校で後輩に伝統文化を伝えてください

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夏休みを楽しみにしているのは子供たちだけではありませんな。大きくなっても夏休みは楽しみなものであります。大学生なんかは二ヵ月も夏休みがございます。まぁ、大学生さんは春休みも二ヵ月くらいありますので、うらやましい限りでございます。

でも、最近は公立の小中学校でも、エアコンを完備しているところが増えているそうで、その関係で夏休みは短くなっているんだそうでございます。首都圏でも関西でも8月中に二学期が始まるところが多いそうですな。

時代の流れとでございますかな。私も学校はエアコンで冷房を入れるのは賛成ですが、エアコンの設置でストーブがなくなってしまうのはなんとなく寂しい気がします。寒い冬に先生の目を盗んで、学校のストーブで焼いたお芋やお餅は格別の味でした。

私の知り合いに中学校の先生をされている方がおるのですが、先日、この知人と飲んだ時に、学校の先生は夏休みがあってうらやましい、と云いましたら「何を云ってるんですか。夏休みの時期はたいへんなんですよ。授業の研修やら部活の仕事やらキャンプの行事やら…休めるのはお盆の一週間だけですよ」とのことでありました。

今年なんかは、夏休みではなく、春休みのことだったそうですが、修学旅行の担当だったそうで、京都へ二泊三日で下見の出張だったそうで…いや、それはそれで、やっぱりうらやましいような気がしますが…

その知り合いが申しておったのですが、学校のイベント考えなければならないそうです。中学生が日本文化、教養を身に着けるためのイベント…私、思わず落語家さん呼んで、学校寄席やりなはれ…と提案してしまいました。やっぱり、中学生も伝統的な芸能に触れるべきでっせ、それには楽しめる要素もある落語が最適や。

…思わず、関西弁になってしまいました。しかし、芸をみがくこととともに新しいファンを開拓して文化を伝えていくことも噺家さんの重要な役割です。噺家さんにとっても意味の大きいことです。実は学校寄席は私のアイディアというわけではなく、実践されている噺家さんも多数おられます。なかには定期的に自分の母校で無償でやられている方もおります。噺家はん、一度は母校で学校寄席、やってくんなはれ。

それに噺家さんの営業にも、巡り巡って還ってきまっせ。考えてもみなはれ。子供たちが落語好きになってくれれば、この先何十年もお客さんになってくれるんでっせ。それに、子供さんのことなら、一人で落語を聴きに行こ、とは思わへんでっしゃろ、「お父ちゃん、お母ちゃん寄席につれててぇな」てなことになりますわな。子供さんのファン一人がもう一人、二人とお客さん連れ来るがな。

競馬があれほどポピュラーになったんも、女性ファンの獲得に成功したからや。競馬場を綺麗で楽しめるアミューズメント施設化して、競馬知らん女性が彼氏と一緒に出かけていってもたいくつせん。そういうお人が何度か足を運ぶうちに、競馬ファンになっていったんや。

またまた、関西弁になってしまいました…しかしながら、落語を通して触れる人間の情ってものは家庭のありかたや友人関係の構築にきっとなにかを問いかけるはずでございます。噺家さんと先生の両方にお願いでございます。学校寄席、是非是非ご検討くださいませ。

以上、学校寄席やりませんかの一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

落語の舞台を旅しよう。落語に登場する土地の景観や美味しいもの

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落語を聴いておりますと、いろいろと知らないところの地名が出てくることがございます。それと申しますのも落語の演目には旅噺という分野があるからでございます。江戸時代はお伊勢参りをはじめとする神社仏閣への参詣が人生最大のレジャーでございました。それだけに、昔の人たちは旅を思いっきり楽しみ、その旅の道中が落語のネタになったのでございます。

今日はそんな、落語に登場する地名や土地を取り上げて、あわせて、その土地の名物や美味しいものも紹介いたしたく…皆様が旅行に出かけられた時の参考にしていただければと思いますし、こちらの話題がきっかけになって、旅行に出かけられたりしていただいたりということがありましたら、とても嬉しい次第でございます。

さて、ご紹介いたしますのは上方落語の演目「愛宕山(あたごやま)」でございます。京都の北西、丹波の国と山城の国の境にそびえる愛宕山は比叡山、鞍馬山とともに京都近郊で親しまれている山でございます。山岳信仰が盛んで、愛宕神社は古来から火事を防ぐ神様とされてきました。京都の家庭や飲食店のキッチンには現在でも愛宕神社の火の用心のお札がよく貼られています。

また、かの明智光秀は本能寺に討ち入る前に愛宕神社に参詣して、連歌の会を催し、「時は今 あめが下しる 五月哉」と詠んでおります。この発句は時と土岐(光秀は美濃源氏の土岐氏)と雨と天(あめ)が掛けられていると云われています。天(てん)が土岐氏の光秀に天下をくださる、という解釈です。

現在は京都市の右京区にあたる愛宕山周辺は古来、都の貴族の別荘地として人気のあるところで、市街地とは異なりのんびりとした風光を楽しむことができます。そんなことから、京野菜の産地でもあり、聖護院大根、加茂なすなどが有名です。

こんな野菜でつくった京都の御漬け物でお酒をやってごらんなさい、上品な心持にひたれます。もちろん、ごはんのおかずにしても思わずおかわりしてしまいます。双方とも杯がすすんでしまうわけですな。

また、京都北西はお菓子が美味しいのでも有名です。嵯峨野の竹林を模した竹の形の筒に水羊羹を詰めたものや、京都市の木である北山杉を模した銘菓、お土産にしたら喜ばれますよ。

右京区には太秦映画村もございます。愛宕山、嵯峨野、嵐山、太秦辺りを散策して、美味しいものを頂く…今度の京都旅行のプランはこんなプランはいかがでしょうか。

落語、「愛宕山」は京都の旦那と幇間が舞妓、芸妓を連れて愛宕山に野分(ピクニック)に行く賑やかなお噺です。枝雀師匠はこのお噺で英語落語に挑まれました。また、江戸落語でもこのお噺は語られていますが、愛宕山の発音はあたごさんになっています。上方落語でも江戸落語でも山唄を唄う場面があり、語りとは別の面で噺家さんの芸の見せ所になっています。

以上、落語の舞台を旅しようの一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

噺家さんのタレント活動…バラエティから映画俳優まで

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噺家(落語家)さんを目にする機会はどんなところでございましょうか。落語ファンの方は実際に寄席に足を運んでおられる方は寄席ということになるのでしょうが…多くの方はテレビで…というケースではないでしょうか。

日曜日の夕方の「笑点」は長寿番組でございます。サンデーシンドロームは「サザエさん」ではなく、「笑点」です…なんて方もいらっしゃるかもしれませんな。ちなみに、サザエさんシンドロームとはサザエさんのエンディング曲を聴いていると、「あぁ、日曜日も終りなんだなぁ…明日から学校(仕事)かぁ…」と少々シミジミとしてしまう症状であります。

現代の噺家さんは日常生活では私服で過ごされています。春風亭昇太師匠なんかは帽子がトレードマークで落語以外のテレビ出演の際はそんなスタイルの時も多いようでございます。私服なので街中ですれちがっても気づかなかったなんてこともあるかもしれません。そこが、日常の外出時もちょん髷姿に着物が基本というお相撲さんと違うところであります。

さて、噺家さんのなかには落語以外にも色々な活動をされている方がたくさんおられます。趣味が高じて映画監督をやったり、俳句の本を書かれたりする方もいらっしゃいますが、やはり多いのはタレント活動でございましょう。

立川志の輔師匠はNHKの健康をテーマにした情報バラエティの「ためしてガッテン」の司会を番組開始からされております。2014年の4月に20年目に突入した番組で小野文恵アナウンサーとの息もピッタリです。落語のお噺のなかで、「みなさん、この意味わかりましたか?」という意味合いで「ガッテンしていただけましたでしょうか?」というのを決め台詞にもされておられます。

志の輔師匠は出身地である富山県の万葉線で観光客向けの沿線の案内を兼ねた社内アナウンスをされております(録音でございます。このアナウンスは土・日・祝日に実施されております)。

元々、表現力を求められる噺家さんはテレビや映画の俳優をされている方もいらっしゃいます。1996年から1997年にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説「ふたりっ子」には桂枝雀師匠や桂小米師匠、桂小米朝(5代目桂米團治)師匠、笑福亭松之助師匠が出演されております。大阪を舞台としたドラマらしいです。そういえば、「ふたりっ子」がデビューだった「マナカナ」の三倉佳奈さん、先日第一子をご出産されました。早いものですな。

枝雀師匠は映画でも熱演されておられます。その作品は1988年作成の松本俊夫監督による「ドグラ・マグラ」です。夢野久作の原作は「日本三大奇書」と言われております。「息子がドグラ・マグラという本を持っているのですが、大丈夫でしょうか?」とヤフー知恵袋の動画付きQ&Aにもなっていました。

枝雀師匠の役は九州帝国大学精神科教授の正木博士、主演級の出演で映画評論家のみなさんも師匠の演技に賞賛の声を送っておられます。こちらのDVD、中古市場でもプレミアがついて2万円前後いたします。

この他にも、噺家さんはお話をする商売ですから結婚式の司会なんかをやられている方もおられます。噺家さんの司会、人情味溢れた式になるのではないでしょうか。

以上、噺家さんのタレント活動の一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

通勤電車の中でiPod、誰の曲?いいえ実は落語です

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私は根っからのアナログ人間で、ポータブルのプレイヤー、iPod が出た後も、ずっとカセットプレイヤーを使っておりました。さすがに、人様の目に晒すのは恥ずかしいところがありましたので、プレイヤーは常にカバンのなかで、という状態でした。

聴いている曲はクリス・レアとかのしっぶーいブリティッシュ・ロックなのに…この時ほど、オートリバースの機能とイヤホンの途中のコードに再生や停止のスイッチがつくようになったのをありがたいと思ったことはございませんな。

尤も、本来はアナログは古い、デジタルは新しいというわけではないのでございます。それぞれ、方式の違いであって、現在の一般的な使われ方とは少々意味が異なります。落語という言葉の芸を扱う者としたことが…失礼いたしました。

そんな私を見かねたのでしょうか、娘が私の好きな曲をたくさん入れて、iPodを誕生日にプレゼントしてくれました。音楽を数えきれない程、入れることができるなんて夢のようでございました。

それ以来、どこに行くのにも手放せないという感じだったのでありますが、思い立って自分でも入れてみました…落語を…それまでは、ポータブルプレイヤーがあっても聴いているのは音楽だけだったのですが、この頃、落語の魅力に目覚めました。

落語は噺家さんの仕草や表情があってこそ、その醍醐味を感じることができると云うのは一理あることでございますが、音声だけ、はたまた活字やイラストで落語に接しても、なかなか面白いものでございます。それは、噺家さんが投げかけた情報を自分で膨らませて楽しむという芸事だからでございます。

実はもう一つ落語を楽しむ要素があって、それは寄席(会場)の雰囲気なのでございます。他のお客さんと一体となって醸し出される雰囲気にのってみる、のせられてみるのも実に気持ちの良いものであります。

iTunesを経由して落語をCDから収録したり、ポッドキャストのサイトから落語をダウンロードした。私のようなアナロ…いや、わたしのような人間にはたいへんな作業でしたがなんとか頑張りました。私の場合はたまたま、iPodですが、ウォークマンを使っても、落語をダウンロードすることもできますし、スマホでだって、落語アプリで落語を聴くことができます。

ウォークマンウオークマンといえば、昔のテレビコマーシャルのお猿さんのチョロ松くんを思い出します。水辺でイヤホン耳にして瞑想しているあのお猿さんです。今の私、アイテムはiPodですが、通勤電車の中でちょうどあんな感じになってしまっています…相変わらず古い噺で…(このフレーズ、米朝師匠が語りの最初の部分でよく用いられます)

以上、通勤電車の中でiPod、誰の曲?いいえ実は落語ですの一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

「夏子の酒」の尾瀬あきらが描く落語の世界「どうらく息子」

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毎日の仕事が終わった後、皆さんなにが楽しみですか?私なんざぁ、晩酌のことですかねぇ…今日はビールにしようか、日本酒にしようか、嫁はなんの肴こさえているんだろうか…そんなこと考えながら電車に揺られております。

一昔前は都市部でもボックス席の電車も多くございましたので、そんな時はちょっと売店で一本買って…ということもありましたが、最近はロングシートの車両ばかりでございます。新宿から小田急線を使っている私の知り合いも仕事帰りはロマンスカーで飲みながら、というのが好きだったそうですが、帰宅の時間帯のロマンスカーはホームウェイという通勤客向けばっかりなんで、車内で飲むのもどうかなぁ…と云ってっておりました。

まぁ、どちらかというと洋酒よりも日本酒の方が好きですかな。そんな私が夢中になったドラマが「夏子の酒」でございます。和久井映見さん、よかったですなぁ。原作は講談社のモーニングで連載されたマンガです。作者は尾瀬あきらさんです。

その尾瀬さん、2010年から小学館のビックコミックオリジナルで落語をテーマにした作品、「どうらく息子」を連載されております。私、帰りの車中で飲むのを諦めたかわりにたいてい雑誌やコミックを買って、車中で読んでおるんですが、毎月5日と20日のオリジナルの発売日が楽しみでございます。いい年したオヤジが電車のなかで、マンガとは…と思われるかもしれませんが、マンガも日本文化の一端を担うものでございます。

ところで、話はまったくそれるのですが、ほとんど毎日のようにコンビニに寄って、雑誌やコミックを買っているのに現金払いしている自分に愕然といたしました。なんで、クレジットカード使ってなかったんだ…と思ってしまいます。雑誌やコミック、タバコなんかはどこで買っても定価です。でも、クレジットカード使えばポイント貯まるので実質的に割引みたいなもんですよねぇ…

「どうらく息子」は保育園で保父さんをしていた主人公、関谷翔太が30歳にして、落語会の実力派重鎮、惜春亭銅楽師匠に弟子入りして、噺家を目指すマンガでございます。この関谷翔太くん、就職活動に失敗して親戚がやっている保育園で世話になっておったのですが、ひょんなことから今まで全く関心のなかった落語に出会ってしまいます。

不器用な性格でいろんな失敗を重ねながら成長する姿、自分は半人前だから…と思って、思い切ってぶつかっていけない30代の恋を「紺屋高尾」に見立てて描いているところなどがみどころでございます。電車の中で読んでいて思わず涙しないように要注意でございます。

マンガのストーリーからは少々はずれますが、銅楽師匠、だいたい60歳以上の設定だと思われるのですが、おかみさんがとてもお若く美しい方でございます。私としてはそのあたりにも大いに関心があるのでございますが…なお、こちらのマンガ、柳家三三師匠が務められております。

また、他に落語をテーマにしたマンガでは「BARレモンハート」でも有名な古谷三敏さんによる「寄席芸人伝」などが逸品でございます。こちらは明治から昭和の始め頃に活躍した噺家さんたちにスポットをあてた作品でございます。噺家さんたちのエピソードだけではなく、皆さまのお爺さんやお祖母さん、ひいお爺さんやひいお祖母さんの時代の庶民の暮らしがわかるホットするマンガでございます。

以上、落語のマンガの紹介でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

落語の演目の時代を知ろう。落語が教えてくれる江戸文化

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落語は江戸時代に成立したと云われておりますが、およそ、大坂夏の陣が終息した元和年間にその始まりをみることができます。大名衆、いわゆるお殿様のお伽衆(話相手)が噺家(落語家)の祖とされています。

その後、江戸時代もなかばを過ぎると、落語はだんだんと庶民の娯楽になっていきました。天保年間(1830年~1843年)の江戸には200軒以上の寄席があったそうでございます。さて、今日は落語を通じて、そんな江戸の時代、江戸文化を垣間見てみましょう。

皆さんの人生の楽しみはなんですか?ゴルフ?お酒?映画?海外旅行?まぁ、いろいろあると思いますが、なかには数え上げたら片手じゃ足りないなんて方もいらっしゃるでしょうな…では、江戸時代の庶民の最大の楽しみはなんだったと思いますか?

それは、旅行だったのでございます。落語の演目にも旅噺という分野がございます。江戸落語では「三人旅」、上方落語では「東の旅」などはお伊勢参りをテーマにしたお噺です。「三人旅」は江戸から伊勢へ、「東の旅」は大坂から伊勢を目指します伊勢参りのお噺です。

落語以外にも十返舎一九の滑稽本、「東海道中膝栗毛」弥次さん喜多さんの東海道の旅は江戸時代の大ベストセラーとなりました。葛飾北斎の「富嶽三十六計」、歌川(安藤)広重の「東海道五十三次」は旅から生まれた美術品の至宝とも云えるでしょう。

江戸時代の旅といえば、「入り鉄砲に出女」でイメージされるように規制でがんじがらめという感じですが、実はそうでもなかったのです。通行手形を持たずに旅をする庶民も結構いました。通行手形を持つことの意味は、それを持っていれば旅の途中で役人に取調べを受けた時は自分の身分を証明できることと、関所を通ることができることです。

関所は交通の要に置かれていたので、関所を通らない、裏街道をゆくことはそれなりにたいへんなことでした。箱根なんぞは天下の剣ですから、関所を通るのもたいへんだったのに、そうしないとなると正に道なき道をゆくというありさまになります。

交通規制とともに、江戸時代の町家の庶民は休日といえば盆と正月のみ、お百姓さんは年貢の関係からなかなか在所を離れることはできませんでした。そのようなことから、旅というものが最大の楽しみだったのでございます。主要街道のガイドブックも出版されていました。

そのなかでも、庶民の最大の憧れがお伊勢参りでした。お伊勢参りがそれほど人気だったのは一つ理由があって、奉公人や子供が主人や親に内緒で出かけても、信心の旅であったので咎めることはタブーだったのでございます。そのうえ、ある時期はお伊勢まいりをする人は宿や飲食は沿道の住人に施しをうけることもできたのです。

なかには、お伊勢まいりを装った駆け落ちをする輩もおったそうでございます。時にはお伊勢参りが集団になって、数百人規模にもなることがありました。大集団のお伊勢参りと特にお蔭参りと称したりいたします。

日本人の集団旅行好き、江戸時代からの伝統文化だったのかもしれません…以上、落語が教えてくれる江戸文化の一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

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今も昔も幾つになっても、旅をすることは楽しいもの。
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落語会のチケットはどうやってとるの?公演情報はどこで知るの?

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コンサートやイベントの会場、特に、開場を待つ会場周辺の雰囲気てぇものはいいもんですな…いえ、洒落じゃございません…これから何か、とってもワクワクするなにかが始まるようで、まるで祭りのようです(いや、始まるし…楽しみにしている人にとっては祭りだし)

昔はそんな会場には、ちょっと堅気に見えねぇ、って感じのお兄ちゃんが「はい、券あるよ」とか「はい、券買うよ」なんて連呼してたもんだけれど、最近はめったに見なくなったもんですな。まぁ、ダフ行為は売る方も買う方も法令に触れる行為でありますからな…

尤もそんなお兄ちゃんたち、ダフ屋が存在するのも熱心なファンてえのはチケットが手に入らなかったりした時に、せめて雰囲気だけでも感じたいなんて考えて、会場に行ったりするからなのかもしれませんな…

ではでは、落語の公演のチケットはどんな具合に購入すればよいのかと申しますと、基本はコンサートやスポーツの試合なんかと同じでございます。チケット会社を通じて購入したり、会場で直接予約・購入したりという形式でございます。落語のチケットも、もちろんWeb上やコンビニの端末を通した予約・購が可能でございます。

落語の公演には大きくわけて二通りのパターンがございます。公演の場所である寄席(演芸ホール)が主催するものと噺家(落語家)さん、もしくはイベント団体が主催するものであります。後者のようなパターンは特に「落語会」と云われているものが多うございます。これは、たいてい落語のみの公演でございます。その他は落語や漫才や漫談や歌謡ショーという複数の分野の芸人さんが同じ舞台に立つというスタイルもございます。

チケットの費用は寄席の場合、大人3,000円程から、学生2,500円程から、子供1,500円程からという値段が相場です。落語会の場合は噺家さんの人気や出演する噺家さんの人数などにもよりますが、4,000円から5,000円前後が相場となり、大人料金と子供料金は同額というケースもあります。

そういえば昔、雑誌の「ぴあ」を持ち歩いていると、なんだかとてもお洒落に見えるという時代がありました。雑誌自体は休刊となっていますが、現在はWebを通して情報を発信しております。雑誌の初期の頃は映画とコンサートの情報誌で落語の情報の掲載はなかったのですが、現在は落語情報、豊富でございます。

公演情報はチケット会社の情報とともに、お気に入りの噺家さんのホームページやブログ、SNSなどをチェックすると良いでしょう。これからの公演情報とともに、過去にその方がどのような公演を行っていたのか、ということが参考になります。

是非、一度、落語の公演におこしください。以上、落語の公演についての一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

真夏の夜に「落語の怪談噺」…笑ってかえってあつくなる

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最近、テレビでホラー映画やホラー特番の番組が放送されるの、だいぶ減っているそうでございます。今年の夏のヤフージャパンのトップニュースにもそんなことがでておりました。日本人はホラー好きだと言われているのに不思議なことでございますな。でも、これにはわかりやすい訳があるそうなのです。

やっぱり、暑い夏にホラーで涼しげになるなんて気分がなくなってきたことが理由でしょうか。暑ければ、エアコン…って誰でも思います。当のテレビが盛んに「熱中症の予防のためにエアコンを上手に使いましょう」と呼びかけていたりいたします。寝具だって、いいものがありますよ。クール寝具と申すものですか。別に冷たい水を仕込んだりするわけじゃない。生地の素材と仕立て方でひんやりとした肌触りでございます。

もうひとつ、科学技術がこれだけ進んだので、心霊現象なんかも論理的に解明されるようになってきたので、怖いもの見たさの関心なんかも薄れてるんでしょうかねぇ。なにしろ、心霊写真をつくるアプリなんかもあるくらいですから。また、スマホのパノラマ撮影でわざと失敗してお化け顔になったりする遊びもあったりします。あれは結構楽しいですな。

でも、若い人は真夏にキャンプや合宿に行ったりした時、やっぱり肝試しやりますな。心霊スポット巡りなんかに出かけるお人もおります。だから、やっぱりそういうものに惹かれるところはあるんでしょうな。

落語にも怪談や幽霊、それに死神なんかをネタにした噺がございます。演目としては「お菊の皿」、「怪談牡丹灯籠(かいだんぼたんどうろう)」、「三年目」、「死神」などでございます。

まぁ、落語でございますから、それぞれのネタも最初から最後まで怖いだけの演出というわけではございません。怪談噺のなかにも人情味や滑稽味がちりばめられております。まぁそれがなかったら、落語じゃなくなちゃうかもしれませんし…

「お菊の皿」は番町皿屋敷を下敷きにしたお噺でございます。番町皿屋敷は江戸時代から歌舞伎や講談でも演じられております。お殿様の横恋慕からの姦計(家宝の皿を割ったと難癖つけられるのです)で手討ちにあったお菊は、幽霊になって夜な夜な井戸から現れ、皿の数を数えます。

それにしても、井戸から怖―い幽霊が現れるのは昔からの定番なのでしょうか。井戸の少なくなってきた現代ではお菊さんと貞子さんが同居している井戸なんてのもあるかもしれませんな。 

お菊さんの幽霊が皿の数を数える姿を見た者は命を落とすという噂が流れるのに、見物人は増える一方、疲れてしまったお菊さんは…こちらの「お菊の皿」、柳家喬太郎師匠、春風亭小朝師匠、立川談志師匠などによるお噺が逸品でございます。

番町は現在の東京都千代田区、一番町から六番町まであって、一番町の千鳥ヶ淵公園は桜の名所でございます。公園前の半蔵門濠ではこの季節、カップルを乗せた貸ボートがゆったりと浮かんでおります。春の日差しのなか、好きなお人と頂くお弁当もなかなかおつなものでございます。

以上、落語の怪談噺の一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

落語に登場する動物たち①「人間になった白毛のイヌ」

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動物は私たちの日常生活に潤いを与えてくれますね。それはワンちゃんやネコちゃんをはじめとするペットだけではありません。動物園も水族館も休日のレジャーとして人気がございますな。もっとも、私なんぞは、休日にお馬さんがたくさんいるところに出かけるのも大好きなのでございますが…

落語の演目にも動物が登場するお噺がたくさんございます。「元犬(もといぬ)」、「猫」、「動物園」などなど…その他にも演目名にはついていなくても、タヌキやキツネが登場して与太郎たちを騙すお噺なんかもございます。

「元犬」は江戸時代に成立した古典落語です。江戸落語でも上方落語でもポピュラーに演じられております。

神社仏閣に住み着いていた。一匹の全身真っ白な毛並のシロと申すノラ犬がおりました。(こちらの神社仏閣は演じ手によっては蔵前の八幡様や目黒不動だったりします。また、上方落語では天満の天神様が舞台になっています)

おそらく、ノラ犬が神社仏閣にいたという設定は、昔はそこが人が大勢集まる場所だったからでしょう。門前には茶店もたくさん出ています。親切なひとに食べ物を貰えることも多かったのでしょう。

昔は白い犬は人間に近い、という俗信がございました。或る日、シロは近所に住むご隠居さんに「お前と話ができたら、たのしいのになぁ。でも、白い犬は一番人間に近いと言われているからな…きっと生まれ変わったら人間になれるよ」と全身を撫ぜてもらいながら語りかけてもらいました。

一念発起したシロは八幡様にお百度を踏んで、「来世ではなく現世で人間になって、ご隠居さんたちとお話しがしたいです」と願をかけます。そうすると、シロの願いは見事にかない、彼は見栄えのよい好青年に生まれ変わって…

さて、このシロくん、人間に生まれかわって忠志朗(ただしろう)という名前になっても、イヌだった時のクセがぬけずに、雑巾を咥えて振り回したり、タライから水を飲んだり、ゲタを咥えて行って隠してしまったり、おかしな行動ばっかりしてしまいます。犬好きの人が聴けば、うんうん、あるある、と肯くような可笑しな内容です。

ちなみに、忠志朗の名は「名前はなんだい?」、「シロです」、「シロウ?」「いえ、ただのシロです」、「あぁ忠志朗か、いい名前だ」という掛け合いできまります。ここで、私がこの名前の字を四朗や史郎ではなく、志朗としたのも落語の楽しみ方の一つに聴き手が自分の世界観で演者の噺を膨らませるというところがあるからなのです。

もしかしたら、ソフトバンクの白戸家のお父さん犬を考えた人はこの噺をネタにして企画したんじゃないかなぁ…とも思えます。そういえば、おとうさん犬のカイくん、現在は二代目ですが、こちらも相変わらずいい味だしております。

こんなふうに古典芸能である落語に動物が登場するのも昔から人間の生活のなかに動物が密接に係わってきたからではないでしょうか。そのなかにはたいへんに太い絆もあったはずでございます。おそらく、これからもそうなのでございましょう。

以上、落語に登場する動物の一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

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