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純粋に音楽としても楽しめる「落語の出囃子」あれこれ

たくさんのお運び、誠にありがとうございますm(__)m。Web亭落語講座、案内人の落語語朗(らくごかたろう)と申します。皆様に落語の魅力を紹介しております。

たくさんの人にご自分の登場を音楽で告げる登場テーマ。アントニオ猪木は「炎のファイター」、清原和博には長渕剛の「とんぼ」といった、その人を象徴したテーマ曲がございます。それを聞くだけで、ワクワク、ドキドキいたします。出囃子は噺家(落語家)さんの登場テーマ曲でございます。

高座(落語の舞台)ではお囃子または下座と言われる方々が演奏していらっしゃいます。楽器の構成は三味線、笛、太鼓、当たり鐘がメインで、笛、太鼓、当たり鐘は前座の噺家さんの役割ですが、三味線は落語三味線囃子方(らくごしゃみせんはやしかた)という専門家の方が演奏いたします。普通に三味線を演奏している方ではないわけですな。

この出囃子、落語のファンではなくtっても、純粋に音楽として楽しむこともできます。落語の出囃子を集めたCDもございます。ソニー・ミュージック・ダイレクトから発売されている「落語出囃子100」はたくさんの出囃子を楽しむことができます。

元々は長唄を使われる噺家さんが多かったのですが、昨今では「草競馬」や「デイビー・九ロケット」などのカントリー・ミュージック、「はとぽっぽ」や「我は海の子」のような童謡、「魔法使いサリーちゃん」などのアニソンを出囃子にされている噺家さんもおられます。月亭方正(山崎邦正)さんはご自身が歌った曲、「ヤマザキ一番」を出囃子にされています。

三味線と笛と太鼓と当たり鐘で奏でられるカントリーミュージックやアニソンもなかなかオツなものでございます。どこか懐かしい雰囲気を感じます。原曲よりも少しゆったりめの調子で演奏されるところなんか、一層そんな気持ちを醸し出します。

あれ、そういえば三味線と当たり鐘金と太鼓って、なんか懐かしいものがあると思っていたら、そうちんどん屋さんです。落語をご存じでいらっしゃらない方はちんどん屋さんからクラリネットやサックスを抜かした演奏と捉えていただくとイメージがつけやすいかもしれません。尤も、こんなこと言うと、「ちんどん屋さんって何?」と質問されてしまうかもしれませんが…

出囃子は噺家さんと一体となったものですが、芸風を変えようという決心から長年親しんだ出囃子を変えたり、複数の出囃子を持ち、演じるネタによって出囃子を変えたり、する方もいらっしゃいます。

また、噺家さんは前座、二つ目、真打と昇進していきますが(上方落語にはこのようなランクはなく、キャリアによる序列があります)、お弟子さんが出世した時にご自分の出囃子をお弟子さんに譲る噺家さんもおられます。

上方落語の重鎮、桂米朝師匠は弟子でご実子でもある桂小米朝師匠が桂米團治を襲名された時、ご自分の出囃子、「三下り鞨鼓(三下りかっこ)」を譲られました。ご実子ゆえに厳しく接してこられたところがあるのですが、父として、師匠としての愛なのでございましょう。

以上、落語の出囃子の一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

「扇子、手ぬぐい、見台」などなど、落語の小道具大集合

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落語は世界で一番シンプルな演劇と云われることがあります。出演者は一人、衣装は着物のみ、小道具は扇子と手ぬぐいだけなのであります。噺家(落語家)さんたちはそんな扇子を使ってタバコを吸う仕草を表現したり、手ぬぐいを使って手紙を読んだりする仕草を表現したりいたします。

でも、ちょっとした他の小道具の使用がなされることもございます。立川志の輔師匠は渋谷のパルコ劇場で実施している志の輔らくごinPARCOで毎年、趣向を凝らした演出をされています。こちらで、かけられたお噺「七福神」ではナポレオンズさんばりのトリックイラストを用いたり、スカーフのお手玉を披露して楽しませてくれました。

さて、この噺家さんが持つ小道具、扇子と手ぬぐいはカゼ(風)とマンダラ(曼陀羅)とも言われます。近頃は座布団に座ってお辞儀をした後、語り始める噺家さんも多いのですが、お辞儀のあと、おもむろに扇子をとりだして、自分の前に置く所作をする方もいらっしゃいます。この所作によって、噺家さんはお客さんとの間に結界をつくっていらっしゃいます。

それによって、私(わたくし)は居ないものだと思ってください。そういった意味が込められております。花魁のセリフを発する時は、あなた様の頭のなかで美しい女性の姿を浮かべてください。ご隠居さんおセリフを発する時はあなた様の頭のなかに頑固おやじの姿を思い浮かべてください(優しいおじいさんを思い浮かべる方もいるかもしれません)。そう呼びかけているのかもしれませんな。

噺家さんが投げかけた言葉を自分がふくらませる。それが落語ワールドの楽しみの一つでございます。日本の古典文化、短歌とか俳句なんかにもそういったところがあるのかもしれません。それが、現代の「空気読め」なんてところにつながってきたりしているのでしょう。

この噺家さん風の扇子、通販でも買えますよ。落語扇子(高座扇子)って検索なすってください。最近ではクールビズでエアコンの温度も控えめで扇子使われている方も多く見られます。落語扇子使っているとお洒落かもしれません。

さて、手ぬぐいの方でございますが、こちらには高座で噺をしている時にかいた汗を拭くという実用的な意味もあります。噺家さんが手ぬぐいをマンダラ(仏教で世界を象徴しているものです。布や紙に描かれます)と呼ぶのは、これを用いて本や手紙、財布などを表現するからでしょう。昔はこれらが世界そのものだったのでしょう。人も想いが込められているものでございます。

手ぬぐいは噺家さんがご自分の名前を染められて、ファンの方に贈られたりもしております。

そして、もう一つ、上方落語では東京の落語では使われない小道具があります。それは見台と言われる台と拍子木です。見台はちょっと小型の文机のような感じのものです。噺のメリハリを出す時など見台を拍子木でピシッ!と叩きます。

上方の噺家さんが東京で公演をする時にも使われることがあります。以前、笑福亭鶴光師匠は「東京では見台用意でけへんから、講釈師の先生から借りますのや」と言っておられました。「1回500円や」だそうです。

上方の落語はその発生期、辻(路上)で演じられることも多く、見台と拍子木の音で行きかう人の注目を集めていたのが由来になっているとも云われております。以上、落語の小道具の一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

落語に登場する動物たち②「ネコとしゃべりたいニャー」

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最近は動物たちの寿命も長くなっているそうでございます。医療の進歩は人間の医療だけではなく、獣医さんの医療も進歩しているわけです。それとともにペットフードなんかも動物に必要な栄養が豊富なものがたくさん発売されています。

昔はイヌはごはんにお味噌汁をかけた「いぬ飯」、ネコはごはんにおかか(削り鰹節)をかけた「ねこまんま」が定番でしたが…でも、人間だって必要なのに自ら体内で作りだすことができる栄養素は少ないのでございます。イヌにはイヌに合った、ネコにはネコに合った食品が必要でございます。

最近のペットフードはそいうった観点で開発されています。でもでも、我が家のネコはおかかが大好物でカリカリキャットフードにおかかをかけないと口をつけようとしないのでございますが…

イヌ、ネコに限らずペットの動物たちは私たちの日常に癒しを与えてくれます。それは昔も同様でございました。落語の演目にも動物が登場する演目がたくさんございます。今回はネコをテーマとしたお噺のあれこれです。

ネコをテーマにしたお噺でおすすめなのは演目の名前がそのものずばり「猫」。桂枝雀師匠の新作落語です。こちらのお噺は枕(お噺の本筋に入る前にお客さんにふる話)の部分が師匠の別のお噺「ロボットしずかちゃん」をアレンジしたものになっています。

「ロボットしずかちゃん」はいろいろな電化製品が言葉を喋るようになったという内容なのですが、ネコも人間の言葉を喋るという設定です。ある日、主人公が飼っていたネコが人間の言葉を話すようになって、テレビのチャンネルを変えることができないからプッシュボタン式のものにしてくれと要求したり(ガチャガチャと回してチャンネルを変えるテレビ、懐かしいですね…)、お魚を買ってきてとお願いしたりします。

ところが、ネコとケンカをしてしまって、翌日からネコが話をしてくれないという展開で、落ち(下げ)は訪ねて来た管理人のおばさんが「前田さん、さっきから何、ニャーニャーニャー言ってるの?」というものです。ちなみに前田さんは師匠の本名です。ネコの気持ちがわかっている人じゃないと作ることができないし、演じることができないお噺です。

旧約聖書にソロモン王の指輪という書があります。その指輪があると、あらゆる動物の話が聞くことができる、というものなのですが、ソロモン王はある時その指輪を無くしてしまって、それまで理解することが出来ていた動物たちの話がわからなくなってしまって、途方にくれます。枝雀師匠は読書家で、宗教関係の本もよく読まれていたとのことですので、もしかしたらこの説話を元にされたのかもしれません。

江戸時代にできた「猫久(ねこきゅう)」というお噺には実はネコは登場しません。穏やかな性格で優しい久六(きゅうろく)という八百屋が主人公です。その性格からみんなに「猫の久六」とか「猫久」とか、ただ「猫」とか呼ばれて愛されている、という男です。昔の人がネコに対してどんなイメージを持っていたのか、そんなことが感じられるお噺です。

こんなふうに落語に登場する動物、きっと昔から私たちにとても身近な存在だったのでしょう。以上、落語に登場する動物たちの一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

落語の演目を活字で追ってみよう。読んでみたい落語の本はこれ

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落語は不思議な芸事です。噺家(落語家)さんが実際に演じているのを鑑賞するのも楽しいし、音声だけでも楽しむことができます。落語を活字で追ってみるのもまた楽しいものでございます。純粋な楽しさとまた別のところ、活字だと実際にお噺を聴いて刺激された感性とは別のところで、何かを感じたりして新しい発見があったりします。

『人間、誰でも怖いものがございます。それは何故かと申しますと、生まれた時の胞衣(えな)、あれを地面に埋めますな。その上を最初に通ったものが怖いものになるのでございます。イヌやネコが通ったり、ヘビが横切っていったりすることがございましょう。昔はそんな云い伝えがあったもんだから、父親が胞衣を埋めた地面をわざと踏んだりする習慣もあったものでございます』

古典落語、「饅頭こわい」の出だしの部分でございます。胞衣って、ご存じでございましょうか。もし、ご存じない方がこの部分を聴いていたとしたら、噺の面白さの細部を逃してしまいます。胞衣とは後産(あとざん)のことでございます。活字だと、その場で辞書を引くことも可能です。そして、昔はそんな習慣があったのか、とあらためて感じてしまいます。

古典落語は台本を元に伝承されたものであります。現代では、もそんな台本のように、落語を活字で触れることができる書籍はたくさんあります。お手軽なものとしては、講談社学術文庫刊の「古典落語」でございましょうか。こちらは続編も出ております。ちくま文庫の「落語百選(春、夏、秋、冬の全4冊)」もおすすめでございます。

子供さん向けの落語の絵本だってたくさん出ております。どことなく、昔噺に似た雰囲気のところがあるのでございますが、落語のお噺ですからきちんと落ちがついております。そういえば、立川志の輔師匠は持ちネタの新作落語、「こぶとり爺さん」のなかで、こぶとり爺さんの昔噺はどこが落ちなの?そもそも題名は「こぶとられ爺さん」なんじゃないの?と笑いを誘っておられました。

話がそれました…桂文我師匠は多数の落語をに関する著書をお持ちですが、絵本や紙芝居の秀作も著わしておられます。考えてみれば、落語のようにほのぼのとできるお噺、子供にとっても楽しいものですし、親の目からみても、情操教育に持って来いってところでございます。

落語の本ではありませんが、主婦の友社刊行の「頭のいい子をそだてるおはなし366」という本は、子供が眠りにつく前、一日の終りにおはなしを一つ、というテーマの本なのですが、昔話や伝記とともに落語を載せています。

また、岩波書店刊行の「桂米朝集成」、こちらは米朝師匠の落語論や対談、上方文化論の他、ご友人やご門弟についての著述もあり、落語の博識家になってみたいな…と感じておられる方は必読でございます。

以上、落語の演目を活字で追ってみようの一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

落語公演が行われるところ。寄席はこんな場所にあります

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寄席は落語を始め、漫才や漫談などをほぼ毎日上演している演芸場です。まぁ、オリンピックも決まったことですし、あらためて東京の寄席があるところがどんな所にあるか、紹介をさせていただきます。

現在、東京には常設の寄席(寄席の亭主、席亭が運営する寄席)が四か所ございます。浅草・上野・新宿・池袋でございます。いずれも、云わずと知れた観光地であります。東京観光のバスツアーでも、各地をまわって、寄席に立ち寄り、お弁当たべながら芸を楽しむ、なんてプランも多うございます。

浅草の寄席は浅草演芸ホール。つくばエクスプレスのA5出口を出てすぐ横という場所柄もありがたいところにございます。浅草の浅草寺の雷門で写真撮ったことがあるという方はたくさんおれれると思いますが、その他にも見所はたくさんございます。

浅草寺の梵鐘は「時の鐘」という名称でございます。江戸時代、地域の中核のお寺には時計があって、それに従って鐘で時刻を知らせておりました。江戸に限らず、全国各地で同様だったのでありますが、昔の人の暮らしぶり、必ずしも日の出、日の入りで時刻を定めていたわけではなかったのですな。

上野は上野鈴本演芸場。東京メトロ上野広小路駅のA3出口の目の前でございます。その他にも徒歩5分から10分ほどの場所に公共交通機関の駅が5つある便利なところでございます。上野といえば、動物園のパンダ、ほのぼのとした愛嬌で私共を癒してくれますが、何分動物さんでございます。ちょうど、お昼寝タイムだったということもあるでしょう。でも、噺家さんを始めとする芸人さんたちはいつでも、パワー全開でございます。

新宿は新宿末廣亭。地下鉄の新宿線・副都心線・丸ノ内線のC4出口を出てすぐのところでございます。新宿と云えば、都庁や繁華街をイメージする方も多いと思われますが、実は公園の名所でもございます。新宿三丁目の目の前には新宿御苑、JRの線路を挟んで、反対側の西口には新宿中央公園、都心にひろがる広大な緑地でございます。

桜の季節は云うに及ばず四季を通して自然に触れることができますが、新宿御苑では自然教室やアートギヤラリーの実施が人気を博しておりますし、新宿中央公園では園内の巨大なナイアガラの滝に模した水の広場を年末年始に綺麗にライトアップしております。

池袋は池袋演芸場。JRならば北口、地下鉄の副都心線・丸ノ内線、東武東上線はC10またはC12出口を出てすぐのところになります。ところで、水族館と云えばどこを思いうかべますでしょうか。江ノ島、鴨川、八景島などなどではないでしょうか。

しかし、池袋のサンシャイン水族館は都会のど真ん中、ビルの屋上の水族館です。飼育されている生物たちの鑑賞やアシカやペンギンのショーはもちろんこことでございますが、天空のオアシスをコンセプトにした同館は日中、周辺のビルに灯りがともる夜間の景観も素晴らしいものでございます。

東京の寄席はいずれも交通機関が便利に利用できるところにあります。表記したものの他にもアクセス方法は多数ございます。寄席に足を運んで、名所スポット巡りというのもオツなものでございます。

なお、常設寄席の他、イベント会社等が営業する多数の演芸場や一般の劇場、ホールなどでも落語の高座が楽しむことができます。以上、寄席はこんな場所にありますの一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

「笑いと健康との関係は?」落語で笑って健康になろう!

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笑う門には福来るなんて申したりいたします。日本人は昔から笑いを徳としてきたのでございますな。ことわざでは、いつも笑いに満ちている家には自然に幸運が訪れる、明るく朗らかにしていれば幸せになれるという意味です。

皆さんにとって幸せとは何ですか?価値観の多様化ということが云われるようになって久しいですが、やっぱり健康第一というのは多くの人の願いなのではないでしょうか。実は笑いと健康にはとても密接な関係があるのです。

まずは、笑いと逆の哀から触れますが、悲しくて、悲しくてどうしょうもなくって、思いっきり泣いてしまった時、かえって、スッキリしたりしませんか?それは体の中のストレス成分が涙にのって流れ出てしまうからなのです。思いっきり笑った時にもちょっと涙が出ます。だから、スッキリした気分になるのですな。涙腺って、不思議なものですな。

しかし、笑って涙が出なくても気分が晴れやかになることもあります。それはどうしてなのでしょうか。それは、毛細血管の隅々に酸素が充分に行き届くからなのだそうです。笑う時に吸う息の量、吐く息の量は通常の呼吸の10倍以上なのだそうです。

その時に吸いこまれた酸素は体じゅうの毛細血管に一気に行きわたり、細胞の活動を活性化させるのだそうでございます。深呼吸で心が落ち着くのと同じ原理というわけですな。

また、お風呂に入っている時も同じ効果が得られるそうです。湯船につかって気持ちよくなり、「ふぅ~」というあれ、日本人の長寿はあれがあるからだそうなのですな。立川志の輔師が「新八語朗出世」の枕(お噺の本筋に入る前のMCのようなもの)でおっしゃっておられました。なるほど、ガッテンいたしました。

それなら、落語で思いっきり笑って健康になってしまおうではないですか。落語の滑稽噺、人がよくて飾り気のない与太朗が引き起こすドタバタ騒動…「そんなことあるわけない」と感じる人もいるでしょうし、「あぁ~あるある」と感じる人もいるでしょう。だから面白いのです。

自分を奮い立たせたい時、好きな音楽を聴いて元気をもらう人は多いのではないかと思います。お仕事、学校に行く前に電車の中で好きな音楽を聴いていられる方はたくさんいられます。落語も同じようにいつでも何処でも、手軽に楽しむことができるので、いつでも何処でも元気になれます。

落語は不思議な演芸です。言葉だけでも充分に楽しむことができるのです。そりゃ、落語のだいご味は噺家さんの仕草や表情も大事な要素です。しかし、何度か聴いているうちに噺家さんの言葉からひろがるインスピレーションが広がります。

一日一つ小噺を仕入れて、あなたの友人に披露、その友人が笑えば、あなただけではなく、あなたの友人も健康に幸せになってしまいますです。幸福の伝道師、まるで噺家さんのようです。

以上、笑と健康の一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

「新作落語をつくってみよう」どんなテーマが落語向き?

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落語には古典落語と新作落語がございます。古典落語は昔から伝わる落語の演目、新作落語は噺家さんや落語作家さんが新たに創作するお噺です。

落語の題材は日常生活のいろいろなところに溢れています。また、時代に合わせたアレンジが可能なのです。新作落語、実際にあなたも、つくってみませんか?つくるのも愉しいですよ。では、どのようにつくるのか、ご案内いたします。

落語のお噺をつくってみる、と申しても難しく考える必要はございません。前述のように題材は日常生活のなかにあります。では、プロの噺家(落語家)さんはどのような視点で新作落語を作っているのでしょうか。ちょっと参考にしてみましょう。

立川志の輔師匠はご自身で新作落語を作る時にこんなことを意識しているとおっしゃっています。「昔は貧乏、きたない、物がない、そういった内容の話を語っていると、みんながかわいそうね…と同情してくれた…ところが、現代はどうです、例えば、ドラッグストアに行ったらいろんな製品が溢れているでしょう。お金があって、きれいで、物があるんですよ」

こういった視点の落語が師匠の新作、「買い物ブギ」です。このお噺ではドラッグストアに買い物に来たおじさんが店員さんに「お風呂用ユアペット(洗剤のマイペットのもじり)と台所用ユアペットはどこがどうちがうの?」と質問していると、「では、どこでも使えるただのユアペットはいかがですか?」とすすめられて「じゃ、お風呂用と台所用の立場がないじゃん。専門家としての気持ちはどうするの?」と展開していきます。

いかがですか?きれいで物が溢れている現代をどんなふうにいじると落語になるか、よくおわかりになっていただけるのではないかと思われます。

そして、落語をつくるとなると落ち(下げ)をどうしよう…と思われるかもしれませんね。こちらの方もあまりひねりを意識する必要はございません。数をこなすうちにだんだんとどうひねればよいか、自然にわかってまいります。

噺の内容にそった格言や世相などを持ってくると上手くはまります。前述の「買い物ブギ」はドラッグストアが舞台ですから「バカにつける薬はございません(バカは死ななきゃ治らないとアレンジされることもあります)」という落ちです。

上方落語の演目、「ぜんざい公社」は国がぜんざい屋を経営したらどのようになるのだろうか、という発想のお噺です。縦割り行政によるたらい回しにあいながら、やっとのことでありついたぜんざいが全然甘くない…お客さんが文句を言うと、「ウチは国営ですから国会議員の先生だけに甘くしております」という落ちです。「なるほどねぇ…」そんな感覚になる落ちを考えると良いでしょう。

はじめは短い小噺のようなものでいいのです。こんなこと考えてると、自然に女の子を退屈させない話題を豊富に持てるようになるかもしれませんよ。ぜひ、あなたもチャレンジしてみてください。以上、新作落語をつくってみようの一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

落語協会が配信中「インターネット落語会」を覗いてみよう

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みなさんは落語をどんな手段で鑑賞していますでしょうか。お気に入りの噺家(落語家)さんがいらっしゃれば、実際に寄席や落語会に足を運んだり、DVDやCDを購入している方もいらっしゃるでしょう。ネットで動画を検索するのも良いかもしれませんね。今日は落語協会のネットを通じた活動を紹介したいと思います。

落語協会は正式名称を一般社団法人落語協会と云って、2014年の6月から柳亭市馬師匠が会長を務められています。噺家さんだけではなく、講談師さんや色物芸人さん(寄席で音曲を演じる芸人さん)も所属しています。

活動内容は落語などの芸能の伝承・後進育成や所属する噺家(落語家)さんの昇進の認定などです。つまり、噺家さんが二つ目や真打に昇進、という場合は落語協会によって認定されるわけです。

事業の一環として、落語協会ではYou Tubeを通じて「インターネット落語会」を配信しています。毎月1日、11日、21日に更新されております。「インターネット落語会」は同協会のHPのトップからも入ることができます。常席の寄席の様子を録画しての映像ですので、お客さんの笑いや拍手も拾っています。綺麗な画質、鮮明な音声で高座を楽しむことができます。

この動画は若手の方からベテランさんまで、幅広い噺家さんが登場します。いままで知らなかった噺家さんと出会えるところがとてもいいところです。特に、一般の方は若手のなかでも、なかなか二つ目さんの高座に触れる機会は少ないのですが、こちらでは二つ目さんの動画もたくさんありますので、是非、ご覧ください。更新は頻繁になされていますが、アーカイブスで過去の動画も鑑賞できます。

また、ナビゲーター役の噺家さん(主に若手の二つ目の方)が動画に登場した噺家さんの愛用している着物や扇子などの道具、日常生活のエピソードなどの秘話を紹介してくれくれたりするところも、興味深く、「へぇー」と思うことが少なくありません。

落語協会ではHPの「芸人紹介」で、同協会に所属する全芸人さんのプロフィールを紹介しています。二つ目さん以上は動画の挨拶つき、SNSのアカウントやHP、ブログ、メールアドレスを載せている方もいらっしゃいますので、芸人さんとの交流も期待できます。

落語を始めとする芸事の普及という観点では実に、上手いことやっているという感じなのですが、もう一つ、落語協会はノベリティグッズを豊富に取り揃えています。そのなかでも、協会公認キャラクターの「はなしか」くん(ちゃん…さんかも?とぼけた顔でしっぽしっぽが赤い花になっている、ゆるキャラなのですが…)を染め抜いた手ぬぐい、ちょっと欲しくなってしまいます。

以上、インターネット落語会を覗いてみようの一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m

落語と宗教観「でも、こんな地獄はこわないで。一度行きたいわ」

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大晦日、除夜の鐘とともに神社仏閣にお参りに足を運ぶという方もたくさんいらっしゃると思われます。家内安全、商売繁盛、そして健康のこと…大晦日から元旦にかけての初詣は一層、ご利益がありそうな気がいたします。

日本人は無宗教と言われたりしますが、現在も日常生活のいろいろなところに信心の行いはございます。車に交通安全のお守りつけている方も多くいらっしゃいますし、お子さんの受験ともなれば、どこのお守りがいいだろう、って真剣に考えてしまいませんか?

落語の演目にも宗教観があらわれたお噺がたくさんあります。幸せになりたいものだ、という昔の人の願いが反映しているのでございましょう。地獄と極楽、双方ともに落語の演目には取り上げられておりますが、どちらかと言えば、地獄を滑稽に描いたものが多うございます。死んで地獄に行くのは怖い、それなら思いっきり地獄を茶化してやれ、ということなのでしょう。

古典落語の演目「地獄八景亡者戯(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)」は1時間を超える大作です。それだけに、演じ手の力量を問われます。至って気楽な主人公がサバで一杯やってゴロッと寝てしまったらあの世へ旅立ってしまいます。六道の辻、三途の川、賽の河原、閻魔の庁という所々であの世の番人たちを困らせるというお噺です。

こちらのお噺、是非とも米朝一門の噺家さんでお楽しみください。米朝師匠、枝雀師匠、吉朝師匠、皆さん独特の味を出されております。同じ米朝一門の雀々師匠は高座に地獄のセットを組んで、白装束でこのお噺を語る演出をされたこともあります。雀々師匠は全国の地獄に所縁のある土地でこのお噺を演じるツアーなんかもされております。

その他の地獄をテーマとした演目には「お血脈(おけちみゃく)」や「ちゃづけ閻魔」などがございます。「お血脈」は長野県の善光寺で配られるお札を貰うと、どんな罪人でも極楽へ往生できるという信仰から、そのお札を求めることが流行り、地獄に来る亡者が激減、閻魔大王が危機感を抱く、という内容です。

「ちゃづけ閻魔」は閻魔大王、お釈迦さま、キリストさまが面白く絡むお噺です。この演目ではこちらの三人は同じご町内に住んでます。

京都の東山区にある六道珍皇寺は「六道さん」の通称で親しまれております。古来から都の人々はこのお寺の付近を現世と冥界の接点、六道の辻と呼んでおりました。小野篁(おののたかむら:平安時代の公卿で百人一首にその歌が収められております)が冥界に通ったとの伝承がある井戸があります。

また、境内の閻魔堂には閻魔大王様の像が鎮座されております。そんなことから、8月のお盆の時期は、現在も六道参りに訪れる人々で賑わいをみせています。 

落語のお噺とは関係はございませんが、温泉の地名には地獄谷という地名が結構ございます。長野県の下高井郡山ノ内町にある、地獄谷野猿公苑は世界で唯一温泉に入る猿がいるとして有名です。海外でも「スノーモンキー」の愛称で有名です。

いかがで、ございましょう。こんな地獄なら一度訪れてみたくなりませんか?以上、地獄と宗教観の一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

女子萌え落語に夢中です「やっぱり芸も光ってる」

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街中でスカウトされて、アイドルに…芸能界よく耳にするシンデレラストーリーで、女の子は一度はそんな夢を描いたりするものでございます。まぁ、昨今はパパさんママさんが揃って、我が子がアイドルになるのを応援して小さい頃からレッスンに通っているなんてことも多いようですが…

落語は伝統芸能でありましたから、長い間プロの噺家(落語家)さんは男性だけでございました。初めて、女流真打が登場したのは1990年代になってからのことでございます。落語と同じ伝統芸能の義太夫では明治の頃から女流の演じ手が人気を集めておりました。娘義太夫とか女義太夫と称されておりました。

ちなみに、この明治期の娘義太夫、今のアイドル同様、熱心なファンが多数存在して、「どうする連」と称される追っかけまであって、かの夏目漱石さんも結構夢中になっていたそうです。

でも、NHKの連続テレビドラマ「ちりとてちん」がきっかけになって、落語に関心を持つ女性が増えてまいりました。落語家を目指すヒロイン役の貫地谷しほりさん、よかったですな。はまり役です。そうしたことから、お若い女性のなかでも落語にチャレンジしてみよう、プロの噺家さんを目指してみようという方も増えてきています。

京都のとある老舗の女子大学の落語研究会さんなんか、芸のレベルの高いことで有名でございます。また、「ちりとてちん」の舞台にもなった福井県の小浜市では、毎年「ちりとてちん杯全国女性落語大会」が実施されていて、75名の参加申し込みの定員もすぐにいっぱいになってしまうのだそうです。もちろん、参加資格は女性です。

このような女性の落語ブーム、やっぱり良いですな。華があります。着物の所作なんかも、お茶やお花をやっておられる女性とはまた別の優雅さを感じさせてくれます。しかしですな、女流噺家さんが感じさせてくれるものは、華だけではありません。

それは、ブームになる前から芸に精進なさっていた先達の功績ってものがあるからでありましょう。落語のお噺はほとんどが男目線の内容です。廓噺、間男の噺なんかもございます。そんなところも、女性の噺家さんが少なかった理由とされています。そんな芸のなかに女性の視点、ということを開拓されたことによって、落語の面白さが一層、際立ってきたのでしょう。

元々、お客さんは女性も多かったわけですからそういった視点の落語は求められていたのかもしれませんが、特に桂あやめ師匠の「京阪神日常事変」なんかは京都、大阪、神戸、それぞれの都市出身の若い女性の特徴が面白おかしく語られております。

もしかしたら、将来、秋葉原あたりに女性の噺家さんだけの高座が毎日開催されているかもしれません…以上、女子萌え落語の一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m

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