純粋に音楽としても楽しめる「落語の出囃子」あれこれ

たくさんのお運び、誠にありがとうございますm(__)m。Web亭落語講座、案内人の落語語朗(らくごかたろう)と申します。皆様に落語の魅力を紹介しております。

たくさんの人にご自分の登場を音楽で告げる登場テーマ。アントニオ猪木は「炎のファイター」、清原和博には長渕剛の「とんぼ」といった、その人を象徴したテーマ曲がございます。それを聞くだけで、ワクワク、ドキドキいたします。出囃子は噺家(落語家)さんの登場テーマ曲でございます。

高座(落語の舞台)ではお囃子または下座と言われる方々が演奏していらっしゃいます。楽器の構成は三味線、笛、太鼓、当たり鐘がメインで、笛、太鼓、当たり鐘は前座の噺家さんの役割ですが、三味線は落語三味線囃子方(らくごしゃみせんはやしかた)という専門家の方が演奏いたします。普通に三味線を演奏している方ではないわけですな。

この出囃子、落語のファンではなくtっても、純粋に音楽として楽しむこともできます。落語の出囃子を集めたCDもございます。ソニー・ミュージック・ダイレクトから発売されている「落語出囃子100」はたくさんの出囃子を楽しむことができます。

元々は長唄を使われる噺家さんが多かったのですが、昨今では「草競馬」や「デイビー・九ロケット」などのカントリー・ミュージック、「はとぽっぽ」や「我は海の子」のような童謡、「魔法使いサリーちゃん」などのアニソンを出囃子にされている噺家さんもおられます。月亭方正(山崎邦正)さんはご自身が歌った曲、「ヤマザキ一番」を出囃子にされています。

三味線と笛と太鼓と当たり鐘で奏でられるカントリーミュージックやアニソンもなかなかオツなものでございます。どこか懐かしい雰囲気を感じます。原曲よりも少しゆったりめの調子で演奏されるところなんか、一層そんな気持ちを醸し出します。

あれ、そういえば三味線と当たり鐘金と太鼓って、なんか懐かしいものがあると思っていたら、そうちんどん屋さんです。落語をご存じでいらっしゃらない方はちんどん屋さんからクラリネットやサックスを抜かした演奏と捉えていただくとイメージがつけやすいかもしれません。尤も、こんなこと言うと、「ちんどん屋さんって何?」と質問されてしまうかもしれませんが…

出囃子は噺家さんと一体となったものですが、芸風を変えようという決心から長年親しんだ出囃子を変えたり、複数の出囃子を持ち、演じるネタによって出囃子を変えたり、する方もいらっしゃいます。

また、噺家さんは前座、二つ目、真打と昇進していきますが(上方落語にはこのようなランクはなく、キャリアによる序列があります)、お弟子さんが出世した時にご自分の出囃子をお弟子さんに譲る噺家さんもおられます。

上方落語の重鎮、桂米朝師匠は弟子でご実子でもある桂小米朝師匠が桂米團治を襲名された時、ご自分の出囃子、「三下り鞨鼓(三下りかっこ)」を譲られました。ご実子ゆえに厳しく接してこられたところがあるのですが、父として、師匠としての愛なのでございましょう。

以上、落語の出囃子の一席でございます。お後が宜しいようで…m(__)m