落語に登場する動物たち①「人間になった白毛のイヌ」

たくさんのお運び、誠にありがとうございますm(__)m。Web亭落語講座、案内人の落語語朗(らくごかたろう)と申します。皆様に落語の魅力を紹介しております。

動物は私たちの日常生活に潤いを与えてくれますね。それはワンちゃんやネコちゃんをはじめとするペットだけではありません。動物園も水族館も休日のレジャーとして人気がございますな。もっとも、私なんぞは、休日にお馬さんがたくさんいるところに出かけるのも大好きなのでございますが…

落語の演目にも動物が登場するお噺がたくさんございます。「元犬(もといぬ)」、「猫」、「動物園」などなど…その他にも演目名にはついていなくても、タヌキやキツネが登場して与太郎たちを騙すお噺なんかもございます。

「元犬」は江戸時代に成立した古典落語です。江戸落語でも上方落語でもポピュラーに演じられております。

神社仏閣に住み着いていた。一匹の全身真っ白な毛並のシロと申すノラ犬がおりました。(こちらの神社仏閣は演じ手によっては蔵前の八幡様や目黒不動だったりします。また、上方落語では天満の天神様が舞台になっています)

おそらく、ノラ犬が神社仏閣にいたという設定は、昔はそこが人が大勢集まる場所だったからでしょう。門前には茶店もたくさん出ています。親切なひとに食べ物を貰えることも多かったのでしょう。

昔は白い犬は人間に近い、という俗信がございました。或る日、シロは近所に住むご隠居さんに「お前と話ができたら、たのしいのになぁ。でも、白い犬は一番人間に近いと言われているからな…きっと生まれ変わったら人間になれるよ」と全身を撫ぜてもらいながら語りかけてもらいました。

一念発起したシロは八幡様にお百度を踏んで、「来世ではなく現世で人間になって、ご隠居さんたちとお話しがしたいです」と願をかけます。そうすると、シロの願いは見事にかない、彼は見栄えのよい好青年に生まれ変わって…

さて、このシロくん、人間に生まれかわって忠志朗(ただしろう)という名前になっても、イヌだった時のクセがぬけずに、雑巾を咥えて振り回したり、タライから水を飲んだり、ゲタを咥えて行って隠してしまったり、おかしな行動ばっかりしてしまいます。犬好きの人が聴けば、うんうん、あるある、と肯くような可笑しな内容です。

ちなみに、忠志朗の名は「名前はなんだい?」、「シロです」、「シロウ?」「いえ、ただのシロです」、「あぁ忠志朗か、いい名前だ」という掛け合いできまります。ここで、私がこの名前の字を四朗や史郎ではなく、志朗としたのも落語の楽しみ方の一つに聴き手が自分の世界観で演者の噺を膨らませるというところがあるからなのです。

もしかしたら、ソフトバンクの白戸家のお父さん犬を考えた人はこの噺をネタにして企画したんじゃないかなぁ…とも思えます。そういえば、おとうさん犬のカイくん、現在は二代目ですが、こちらも相変わらずいい味だしております。

こんなふうに古典芸能である落語に動物が登場するのも昔から人間の生活のなかに動物が密接に係わってきたからではないでしょうか。そのなかにはたいへんに太い絆もあったはずでございます。おそらく、これからもそうなのでございましょう。

以上、落語に登場する動物の一席でございました。お後が宜しいようで…m(__)m